洗濯と読書の日々

インドネシア在住50代主婦 7人家族 猫6匹

やぎの生首の恐怖

やぎの生首について、怖い話があります。


あれは、三年前、家の引っ越しのお祝いを行った時です。
お祝いのため、やぎを一匹屠殺しました。
その時、やぎの生首は、誰も食べる人がいなくて、
家の前にある、一m立方くらいのコンクリートでできたゴミ箱へ生首をじかに捨てたんです。
私じゃないですよ。たぶん夫です。
 
その日、引っ越しで出たゴミが大量にあって、
生首もそのゴミの中へ埋もれていました。
ゴミはたいていその日のうちに、ゴミ収集のおじさんが回収します。
なので、その翌日、一見ゴミがきれいに回収されているかのように見えました。


が、新たにゴミを捨てようとして、ふたを開けた瞬間、恐怖で声を出しそうになりました。
 
ゴミ箱には、やぎの生首だけがポツンと置き去りにされており、
無数のうじが湧いていました。


目や鼻、首の切断部から、ウニョウニョと湧き出る大量のうじ。
怖かったです。
 
なぜ、やぎの生首だけ、回収していかなかったのか。
少し心当たりがありました。
引っ越ししたばかりでしたけど、ちゃんと町内会費は払っていましたが、前日、ゴミ回収のおじさんに、訊ねられていたんです。


「町内会費は払ってあるの?」と。
「ちゃんと払いましたよ」と答えましたが、大量のゴミを前に、おじさんちょっと嫌な顔をしました。


そこでいくらかの心づけを渡しておけば、やぎの生首だけを残していくような卑劣な事はしなかったと思います。まぁ、正規の町内会費は払っていても、うちは家族が多いから、ゴミの量も半端じゃないんです。
少しの出費をケチったばっかりに、嫌な目にあいました。


それからは、毎月ゴミのおじさんに、僅かですが渡しています。
すると今では、ゴミ箱の隅まできれいにゴミを持っていってくれます。
 
うじの湧いたやぎの生首は、夫が弟に命じて焼却処分にされました。
家の前の原っぱで。


けっこうしぶとくて、灯油をたくさんかけて燃やしました。
燃えゆく火の中からこちらを睨むやぎの生首の目も、
ちょっと怖かったです。