洗濯と読書の日々

インドネシア在住50代主婦 7人家族 猫6匹

イスラム式埋葬の一部始終


清められた義父の遺体は、
大きな車輪が4つ付いた台車に乗せられた。
このまま覆いをかぶせて、徒歩で墓場まで搬送するのだが、
その前に町内会長からお言葉があった。
日本でいえば、葬儀委員長の挨拶みたいなものだ。
しかし、時間にして5分程度。
遺族代表の挨拶などもなにもない。

そして午前7時、朝だというのに容赦なく照り付ける太陽の日差しの中、
義父を乗せた台車を先頭に、親戚や近所の人たちが列をなし、
ゾロゾロと墓場に向かった。
人数にして50人くらいだっただろうか。

人々の服装は黒と決まっているわけではない。
男性は、礼拝時に身に着ける長袖のお祈りの服と一枚布を腰に巻くサロンというのが一番多かったが、色の関しては自由で色とりどりだ。
近所の人にはTシャツにズボンという人もいるし、若者はジーンズでも全然かまわない。

近場のお墓なので、徒歩で10分くらいだった。
先祖代々のお墓というわけでもなく、町内会の共同墓地みたいなものだ。
夫の母親は別のお墓に眠っているので、義父はここに一人ぼっちみたいなのだが、
そんな事を気にする人は誰もいなかった。
このお墓もタダらしい。

一行が墓場に到着すると、もうすでに埋葬用の穴が、
穴掘り職人3人の手によって掘られていた。
深さ2mくらいで、かなりの広さがあり、機械で掘ったかのようにキレイな形をしていた。

穴の底に数人が降り、複数の男性で義父の遺体を手渡して穴の底に寝かせる。
底の中央にではなく、土の壁に極力近い位置に置いた。
そして、遺体をかばうように板を斜めに設置し、その上からドサドサッと土をかぶせていった。

土にかえるというように、遺体が直接土に触れるように埋葬するのかと
思っていたので、
板で遺体をかばい、土に触れないようにするというのは意外だった。

土を入れていく作業も、手慣れた職人3人がこなれた手つきでやっていくので、
ものの5分もしないうちに、義父は土の中の人となった。
最後に、義父の名前と生年月日と没日が記された白い板が土に建てられ、
生花の花輪をその板にかけ、土の部分には花びらを直接撒いて、埋葬は完了した。

ここで、参列者は皆しゃがみ、故人に祈りをささげる。
これが長くて長くて、暑さも加わり、ようやくお祈りが終わって立ち上がった時は、
クラクラしてしまった。

これで、埋葬という一大儀式は終了した。
とても簡素であっけないくらいだった。

しかし、これで葬儀が終わったわけではない。
この日の夜からブッ続けで7日間、毎晩近所の人や親戚が集まり、
故人に祈りを捧げるのだ。

集まってくれた人たちに夕食を出し、手土産用のご飯やお菓子を用意しなければならない。

その数100人分。


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