洗濯と読書の日々

インドネシア在住50代主婦 7人家族 猫6匹

「恍惚の人」有吉 佐和子著 最近読んだ本

文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。

老いて永生きすることは果して幸福か?

日本の老人福祉政策はこれでよいのか?

老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない老いの問題に光を投げかける。

空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。内容(「BOOK」データベースより




有吉佐和子著の『複合汚染』は先日読みましたが、小説はこれが初めてです。

昔の人にありがちな、小難しい表現が多い小説かしらと思っていましたが全然違いました。


まるで最近の人が書いたような軽い調子のリズムに、休むことなくスイスイ読めてしまいました。

しかし流れは軽くても、内容は重く複雑です。


昭和四十年代に働く主婦として、当時では最先端の乾燥機付洗濯機や冷凍庫を駆使し、仕事と家庭を両立させていた主人公の昭子。


姑が亡くなったとたん、ボケがではじめた舅。

この舅、姑が甘やかし過ぎたのか我がままな子供がそのまま大きくなったような頑固な年寄りです。

人情味に欠け、初孫でさえ抱いてあやしたことなどない偏屈爺。


そんな舅が自分の息子や娘は忘れてしまっても、本能的に自分の世話をしてくれる嫁の昭子には

「昭子さん、昭子さん」と寄りかかってきます。


最初は以前の舅の態度や性格を恨み、「早く死んでしまえ!」と内心で願う昭子ですが、

舅の世話をしていくうちに、だんだん子供返りする舅を最後まで生かすと、懸命に努力するのです。



老人問題は今でも避けて通れない問題です。

有吉さんもこの本で、昭和八十年にはどのようなことになっているのでしょうと心配なさってます。

現在は昭和だとしたら八十七年ですか。


日本を離れて長いので詳しい状況はわかりませんが、

老人介護問題も政府のいろいろな援助があり、各種施設利用が可能になってきていますよね。


直接介護に関わっていない私が言うのも不謹慎かもしれませんが、ヘルパーさんの存在等この本が書かれた昭和四十七年よりはマシになってきているのではないでしょうか。

 

なにより私が一番痛感したのは、いずれは自分も老人になっていくということ。

これだけは、誰にも平等に訪れる事実なのです。


自分が老人になった時、ボケないでいられるかは神様のみぞ知るでしょうが、

ボケない努力はできるのです。


自分の事は自分でする。

体を使って家事をする。

頭を使って物を考える。

どれも簡単な事です。

怠け者になってはいけません。


この本を読んでから心を入れ替え実行していこうと思っています。


料理をするのは、とても脳にいいらしいです。

私が一番ニガテな料理ですが、いっちょ頑張ってみますか。


努力を怠らず、平和な老人ライフを送れますように。